「あ、売り切れてる」
 ファミリーマートの菓子コーナーにしゃがみこむ。子供用の駄菓子は低い位置にあるのだ。いつも買うチョコレート菓子の置かれていたところには、ぽっかりと空間があいている。
「アーモンドチョコにしようかな」
 立ち上がり、目線の高さにある菓子を物色する。アーモンド入りチョコレートが百九十八円。今日の分の小遣いをほとんど使ってしまうことになる。

 選択肢は二つある。
 バス通りを渡ってローソンに行くか、よしなが酒店に行くか。バス通りの向こうは校区が違うから、子供だけで遊びに行ってはいけないことになっている。どちらを選んでも母に怒られるのは確実だ。
「どうせ怒られるなら、近い方がいいや」
 僕はファミリーマートを出て、よしなが酒店に向かった。