家に帰ると、もう父も母も帰宅していた。
「遅かったじゃないの。どうしたのそんなに汚して」
 母に叱られる。時計は六時過ぎを指していた。木屑や泥で汚れたパーカーを無理矢理脱がされる。
「いいじゃないか、子供は遊ぶのが仕事だ」
 父は台所で夕食の配膳を手伝っている。

「なにこれ!」
 洗濯機の前で、母が大きな声を出す。
「あ、どんぐりとか……」
 パーカーのポケットに入っていたたくさんのどんぐりと、ウエハースチョコレートと、錠前を僕は受け取る。
「ビックリマンチョコじゃないか。懐かしいなあ」
 父が僕の手のひらを覗きこむ。
「お父さん、知ってるの」
「子供の頃すごく流行ってたよ。まだ売ってたのか。今、シールどんなのだ?」
 父に促されて、僕はウエハースチョコレートを開封する。母が「夕ごはん前なのに」と父に文句を言っている。
「スーパーゼウスだ!」
 父が嬉しそうにシールを手にとる。
「これすごいの?」
「ヘッドシールだよ。レアなんだぞ」
「へえ」
 レアと言われてなんとなく嬉しくなってくる。訝しげに覗きこんでいた母が「ちょっと見せて」と、パッケージを取り上げる。
「亨、これをどこで買ったの?」
 パッケージの裏面を睨んでいた母の声が、静かに怒っている。