砂場横の出入り口から裏道に出る。そうしてなにくわぬ顔でジャングルジム側の出入り口から公園に入る。ジャングルジムの前では、クヌギ軍の二人がジャングルジムにどんぐりを投げつけている。
 僕はなぜここに来たのだろう。一九八五年の十一月七日に。植え込みの葉をむしったりしながら、少しずつ敵の本拠地に近づいていく。
(もし僕たちが勝ったら)
 僕はジャングルジムを見上げる。ジャングルチームのリーダーの後ろ姿と、傍らに置かれた四角い海苔の缶。

 リュウタが目配せをする。僕が小さく頷くと、二人はジャングルジムの中腹まで登り、リーダーに向けてどんぐりを投げつける。ジャングルジムの前方に防御が固まる。
「いててて!」
「落ちる落ちる!」
 クヌギ軍の二人は拳銃で撃たれたり、上着を引っ張られたりしている。ジャングルジムの一番上で、リーダーが身を浮かす。海苔の缶から手が離れる。
(あの宝箱を僕が奪えば)
 僕はジャングルジムの後方から駆け登る。

「やった!」
 クヌギ軍の歓声に、リーダーが驚いて振り返る。ジャングルジムのてっぺんで僕は宝箱を掲げる。
「いつの間に!」
 リーダーは宝箱を取り返そうとジャングルジムの上に立ち上がる。僕は抵抗する。宝箱に彼の手が伸びる。
「うわあっ!」
 缶の蓋は開き、シールやビー玉が空に舞い散った。