花吹雪みたいに舞うシールを見上げていた。次の瞬間、僕の前にジャングルチームのリーダーはいなかった。どさり、と鈍い音がする。
「岡田くん!」
 サユの叫び声が聞こえる。ジャングルジムのてっぺんで僕は空っぽの宝箱を抱えている。

 子供たちがジャングルジムの下に集まる。
「岡田!」
「岡田くん大丈夫?」
 僕は呆然とそれを見下ろす。クヌギの樹の方からオーちゃんが走ってくる。
「大丈夫か、岡田」
 岡田……? 脇の下に冷たい汗が流れていくのを感じる。
「トール、降りてこいよ」
 オーちゃんが静かな声で僕のことを呼ぶ。

「大丈夫……」
 うずくまっていたリーダーが体を起こす。右目を手で抑えている。地面に落ちた、割れた眼鏡をサユが拾い上げる。
「俺たちの負けだ、吉永」
「勝ち負けとかそんな場合じゃないだろ! 父さん呼んでくるから待ってろ」
 心臓がとても早く打っている。指先が冷たい。岡田と呼ばれた少年の、目元を覆った指の間から血が流れている。そうして彼はオーちゃんのことを『吉永』と呼んだ。
 全てを理解するにはそれで充分だった。